2008.07.19 ライブエリアレポート遂に始まりました、ap bank fes 08。今年も3日間、恒例のドキュメント・レポートをさせてもらいます、鹿野です。よろしくお願いします。去年は台風によって残念ながら2日間が中止になり、1日だけのフェスとなりました。よって「始まった日」が「お終いの日」になってしまったのですが、今年は違います! 始まりの日はこれから3日間にわたって繰り広げられる音楽天国の扉が開いた日です。さあ、愛しき音楽空間を体験した人も、体験できなくてこのレポートを観に遊びに来てくれた人も、楽しんで読んでってください。ちなみに、3日間通して響く曲やアクトに関しては、最終日までソングリストを公開しません。3日間全部のレポートを楽しんで欲しいと強く願っています。 早朝はまだ曇りだった空が晴れやかな青さを彩った9時頃、フィールドには既に多くの人が自然と音楽を求めて集まっていた。気温は既に30度を超えている。台風によって幻に終わった去年と初日とは比べるのも愚かなほどの快晴の中、ap bank fes 08は始まろうとしていた。 9時30分。早くもバックヤードに櫻井和寿やBankBandの四家卯大 オーケストラの姿がある。今年のap bank fesも、まず最初にステージで音を響かせたのは、四家卯大 オーケストラの穏やかにして壮大なストリングスのサウンド・チェックの音色だった。 そして10時。今年最初のアクトを飾るCaravanがバックエリアに入場してきた。正直、若干眠そうだ。「朝だからね(笑)。でもライヴやりながら、どんどん気持ちよくなるよ」と笑いながら語っていた。そしてホスピタリティ・エリアではアコギを片手に大きな声で――発声練習を兼ねているのだろう――櫻井が歌を唄い続けていた。これもまた、ap bank fesのバックエリアの日常の光景、いや、音楽的にとても優雅で贅沢な光景である。 10時50分。スタッフとA SEED JAPANのチーフからの挨拶とゴミ等や自己管理への注意事項が告げられる。 そして11時、ステージ袖からフィールドを覗きながら、「和やかでいいなあ」と嬉しそうに笑っていたCaravanがステージに登場し、遂にフェスがキック・オフされた。 Caravan一人でハーモニカとアコギの音をサンプラーでその場で重ねていき、とても一人で独演しているとは思えない音のハーモニーがステージから発される。そのナチュラルでウッディーな音色に心の手紙を読むようなCaravanの歌声が重なり、そこにセカンド・ラインの手拍子で応戦するフィールドとのコミュニケイションが生まれ、ap bank fesならではのアット・ホームな空気が早くも溢れている。2曲目でYUKIに楽曲提供した“ハミング・バード”が歌われる。この名曲を聴いていて気づいたこと、それは「ここが1年にたった3日間だけの、しかしたった3日間だけでも人生の大きなメモリーになるべき音楽天国だってこと」だ。
「去年は台風で参加できなかったですが、ようやくこのステージに立てて嬉しいです。最後まで楽しんでください」とMCしたCaravanは、その後も灼熱のフィールドに涼しげな音色を響き渡らせ、その涼しげな中でもしっかり「オー・イェー!」というコール&レスポンスでフィールドの沸点を上げた。 最後に「今日は本当にいい1日になりそうですね」と軽やかなエールを送り、2年越しのトップバッターの役目を見事に果たしていた。 「楽しかったです。お客さんが凄くあったかかったし。超アウェイかと思ってたんですけど、割とみんなあったかくて。オープニングだから、みんなもまだまったりしていて、それが逆にやりやすかったんですよ。……ラジオ体操の時間、みたいな(笑)。 こんな雰囲気がいいなら(今年は)暑くても3日間大丈夫そうですね」 ♪Glory days ♪ハミングバード ♪Soul Music ♪FREE BYRD Bank Bandさあ、今年のBankBand with GreatArtistsのライヴの始まりである。
まずはお馴染みのBankBandのクレジットから綴らせてもらおう。 櫻井和寿 (Vocal,Guitar) 小林武史(Keyboard) 山木秀夫(Drums) 亀田誠治(Bass) 小倉博和(Guitar) 山本拓夫(Saxophone) 西村浩二(Trumpet) 藤井珠緒(Percussion) 四家卯大(Cello) 沖祥子(1st Violin) 田島朗子(2nd Violin) 菊地幹代(Viola) 登坂亮太(chorus) イシイモモコ(chorus) 以上14名による音楽集団がBankBandである。
去年は欠場だったドラマーの山木さんが帰ってきたことを含め、音楽の芯も髄も噛み締めた素晴らしいメンバーが今年のBankBandにも集まった。これまた例年通り、入念なリハーサルとアレンジを東京でこなし続けたバンドは、「もうリハーサルから連帯感がね(笑)」と櫻井が語る通り、さらに頑強にしてしなやかなバンドになった。 夏限定ではあまりに勿体ないスペシャル・バンドのライヴが、このフェスの会場で、オープニングで歌うために作られたお馴染みの曲から始まった。 ※ソングリストは7/21のレポートに記載します。 GAKU-MC「凄く最高な沢山の演奏が続くけど、誰かの体調が悪くなるまでやるような音楽じゃないんで、コンディション整えて、めいいっぱい楽しんでください。では、トップバッターと言えばこの人しかいないでしょうか?GAKU-MC!!」という櫻井のアナウンスによって、Bank Bandのマスコット・ボーイにしてムードメイカーのGAKU-MCが登場した。「この日のことを想像しながら、1年過ごしてきました。みんなも一緒でしょ?最初の曲はこの日のことを想像して書きました」と言って、いきなりテンションをガツンと上げていく。もうオーディエンスもわかっている。GAKU-MCが出てきた瞬間から、本当の意味でのパーティーが始まるのだということを。
本当に貴重なアーティストである。まるでビートルズにおけるリンゴ・スターのように、バンドにとっても音楽にとっても、そしてメロディーやリズムがバンドの中でカラフルに響くようになるためにも、GAKU-MCはBankBandの立派な「笑顔」である。ブレイクビーツがしなやかな風を受けながら、リズムの波を描いていく。やはりこのバンドののダンス・チューンは最高だ。ラップとMCでとことん煽り、そこに小林のピアノがスイングしながら絡み合い、さらにホーンが高らかなファンファーレを鳴らす。熱い!GAKU-MCも櫻井もBankBandもみんな熱い!!暑さを打ち勝つには更なる熱さなのだろうか?バンドのギアがどんどん上がっていく。ちなみに櫻井とGAKUの髪型が軽く似ていて、何だか双子のようだ。 メンバー紹介を曲間に挟みこみ、さらにフィールドに華やかにハンズ・アップを促し、器用に空間を支配しながら強い視線をすべてのオーディエンスに投げかけ、颯爽とGAKU-MCは去っていった。 ※ソングリストは7/21のレポートに記載します。 BONNIE PINK「続きまして女性の方でございます。気持ちよく涼しげに、でも魂の底から熱くなって頂きたいと思います」と櫻井に導かれて登場したのは、BONNIE PINK。彼女も去年の台風によって出演が幻となったアーティストである。いきなりキラーチューン満開の“Heaven’s Kitchen”。つま恋の自然と音楽の天使を味方につけ、女王と言っても差し支えない鉄壁のソウル・ボイスで、Bank Bandという壮絶なバンドを「猛獣使い」として見事に取り仕切っている。バンドもフィールドの男衆ならみんな「押忍!」みたいな、彼女のオーラを前に若干みんな腰が浮いている。
「去年台風で来れなかったもので、その分を含めてWパワーで来たんですけど、さらになWパワーの快晴で嬉しいです。実は前回も緑の衣装だったんですけど、今回もなんです。みんなが地球の一部だと感じられたらなあと思って。汗とか涙とかいろいろ流して、地球に恵みを流しましょう」というMCの後で“Water Me”。 見事な展開で、apで音楽を歌う意味を響かせてくれた。 ♪Heaven's Kitchen ♪鐘を鳴らして ♪Water Me 一青窈次もapのディーヴァとしてお馴染みの一青窈。
毎回、透き通ったヴォーカルで灼熱のapにシャワーを降り注ぐ一青窈だが、今年はちょっと違った。 「apに来ている人は、地球がどういう状況にあるのかを知っている人が多いと思います。何度自分がつまずいて転びそうになっても起き上がれるんだってことを歌に込めました。どうぞ聴いてください」と挨拶して歌い始めた“どんでん返し”はアグレッシヴ極まりないナンバーで、しかも途中から彼女自身が何とタオルをブンブン回し始めたのだ。これにはフィールドもびっくりしながらすぐに応戦。apはこの一瞬だけ「レゲエ祭」や「パンク・フェス」のような光景を見せたのだった。“このアーティストはこういう感じ”とか“一青窈? あぁ、元祖癒し系ね?”みたいな安易なカテゴリーで括れるほど、アーティストも音楽も薄っぺらいものじゃない。もっと自由で曖昧で、だからこそ衝動的なものこそが音楽であり、アーティストなのだ。 この日の一青窈は新鮮な一青窈だった。青空と暑さにシンクロしながら反射していく、新しい一青窈だった。 「楽しかったです。ちょっとブランクを置いていたので怖かったですけど(笑)、みんな盛り上がってくれたのでよかったです。タオルは自分だけ空回りしてもいいかなぁと思ったんですけど、みんなも一緒に回してくれて嬉しかったです。BankBandとは久しぶりだったんですけど、やっぱり変わらずにいてくれたことが嬉しかった。音は進化しているけど変わらずにいてくれたんだっていう」 ♪つないで手 ♪どんでん返し ♪受け入れて 大橋卓弥(from スキマスイッチ)「続いてのアーティストは、確か去年は2人で(出る筈で)、今年は1人で素晴らしい音楽を聴かせてくれます」という挨拶の後で出てきたのは、大橋卓弥。ソロ・イヤーな今年を象徴するようなソロ曲で始まった後――。大橋「今年は1人になって帰ってきました!」 櫻井「あんまり1人に慣れてないでしょ?」 大橋「はい! しんたくんって言えない寂しさが……」 と絶妙の掛け合いの後で、スキマ時代から恒例のミスチル・カヴァー・タイムに突入!今年は“星になれたら”である。フィールドはイントロが鳴った瞬間から大興奮。ちなみにこの辺りの時に。バックエリアでは何故か来ていたスキマスイッチでの相棒、常田真太郎が慌しく走っていた。
MCはハモらなかったが、流石音での会話は完璧なハーモニーを描き、見事な久々のスキマスイッチ・ライヴとなった。ちなみに“ふれて未来を”は、このフェスの打ち上げでみんなで大合唱する「裏apアンセム」である。そんな裏の顔が表に昇格され、BankBandの力によって新しい息吹を得た名演だった。ソロから始まり、ミスチルのカヴァー、そして最後はスキマで締め、わずか3曲でここまで空気をカラフルにすることができるのか? を見せ付けて笑顔で帰っていった大橋、および常田だった。櫻井に「行ってらっしゃい!」と言われて歌いだした大橋は、ピョンピョン跳ねながら櫻井と共に思春期の歌を唄っている。櫻井とは音楽的にじゃれ合い、小林からは温かい目で見詰められながら鍵盤を叩いてもらっている大橋卓弥。きっちりつま恋でも成長と進化を見せつけている。 そして櫻井にMCをお願いしようとすると、「違うよ!君のステージだからね」とピシャッとやられ、「僕のステージです!」とご満悦で開き直った大橋が、「なんですが、相棒が遊びに来ているって噂です」と呼び込んだのが、相棒の常田真太郎。 さあ、ここで毎度フェスの打ち上げに腹を抱えて笑わせる名人芸のような掛け合いが生まれるか?と思いきや……全然噛み合っていない……。 というわけでとっとと曲に向かったところで出てきたのが、スキマスイッチの名曲である。 「ひとりapで始まって、最後スキマスイッチで終わるっていうのがなんか凄くやってみたらいい流れだなと思って(笑)。このフェスはほんとに楽しみにしてて、まぁ去年は残念だったけど、今年はそれで楽しみが倍増して。櫻井さんと見つめ合って歌えただけでもう僕は、世界中にいるミスチルファンの代表として役目を果たさなきゃっていうのはあるので(笑)。これからも呼び続けて欲しいなって、ステージの上で思いながら歌ってました(笑)」 ◆(櫻井和寿との)幅が1年ずつ縮まってるような気が――。 「いやいや!そこはまったくありませんね(笑)。僕がもし成長してるなら、それ以上に櫻井さんは成長してると思うから。それにしても毎年ここは凄くいい場所で、毎年帰ってきたい場所です。少しずつ、成長した姿を見せていきたい場所です。それはお客さんにもそうなんですけど、櫻井さんとか小林さんにも見てもらいたい場所っていうところもあります。これからも呼ばれればいつでも来ます!呼び続けてください!!」 ♪ありがとう ♪星になれたら ♪ふれて未来を(スキマスイッチ) 鬼束ちひろ「たった1曲のためにスキマスイッチの活動をしてくれてありがとうございました!……えー、少し、能天気なムードを切り替えて、凄く熱くてパワフルな女性です」という呼び込みで静かに登場したのが、鬼束ちひろ。
いきなり全身を船を漕ぐように激しく揺らしながら、歌いだす。すぐに凄く歌が上手くなったことに気がついた。彼女特有の度を越えた緊張感が、閉じずに空に飛翔しているような感じの歌。素晴らしい。 音楽は素直だし、人間に圧倒的な感触をもたらす。ap bank fesは音楽好きの集まりで、だからこそ毎回、いや、毎曲毎曲フィールドの表情が変わる。鬼束ちひろが会場にもたらした感触は、とても息を呑むような迫真の雰囲気だった。しかしそれは「痛み」ではなく、「緊張感」、心地よいほどきりっとした緊張感だった。 「夢がさめないことを、きっと責め続けていたのだろう」とかすかな笑みを浮かべながら歌い上げた鬼束ちひろのライヴは、確かな明日への想いが伝わるものだった。 「暑かったです(笑)。でも櫻井さんが後ろでずっと支えてくれてたから、年の離れたお兄ちゃんがいてくれたみたいで、凄い頼りになりました。櫻井さんとは何度かしゃべったことがあるだけなんですけど、ギター持っていらっしゃるだけで安心できる方でいいですね。それにしても暑かったです、私の部屋、いつも16℃に設定してますから(笑)」 ♪月光 ♪everyhome Bank Band「去年、台風でてんやわんやしていた頃に、新潟のほうで震災があって、そのことがきっかけで作った曲です。春夏秋冬って、この暑さの中じゃ思い描きにくいけど、雪って雪のことじゃないから。春って春のことじゃないから。ここは今、素晴らしい場所だけど、どこかでは雪に覆われた気持ちの人もいるかもしれない。今、冬を迎えている人たちの気持ちを考えれるような曲をやります」という櫻井のアナウンスによってBankBand第一部の最後の曲がつま恋に鳴り響いた。終演後、メンバー、特に櫻井と小林武史は細かい詰めをしている。 テラスではMr.ChildrenのJENが「昨日のリハも凄かったんだよ。BankBandに人たちって、曲をやればやるほど、気温よりも熱くなってきちゃうんだよね(笑)。そうそう、音楽アニマルだから」と教えてくれた。 みんながフェスを楽しみながら、酷暑の中で自分のペースを取り戻すべく息を整えていた。 ◆暑いからなのかもしれないですけど、言葉のメッセージよりも音楽からこのap bankというメッセージを感じ取って欲しいっていうアクトだと感じました。 小林武史_「その通りです。ほんとにそういうもんなんです、今回のBankBandは。エコに対するメッセージというより、敷居が下がった音楽の歌謡性みたいなことがやっぱり大事なんだよね。だから演奏は、楽しむっていうことだけに集中して……それが今年のテーマです。まぁテーマよいうよりも、自然とそうなってったね。後半も凄いから楽しみにしててよ(笑)」 Bank Band14時10分、第2部が始まろうとしていた。ステージ・サイドに集まったBankBandの面々を盛り上げようとAIが思いっきり話したり踊ったり叫んだりしている。 「たくさんの優しい愛に満ち溢れた歌が、また次から次へと流れて来るんで、バテずに楽しんでいきましょう」という挨拶の後、まず櫻井と小林とギターの小倉によるミスチルの名曲が披露されてから、AIが呼び込まれた。 AI待ちきれずにステージ袖でずっと踊っていたパワーをいきなりマイクに乗せ、「みなさーーーーーーーーん!!きたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」といきなりカマし、フィールドが最高にアガった。凄い神通力だ。MC一発で花火が上がったかのようになるのだから。そしてロック・ビートが鳴り響き、アグレッシヴに第2部がキック・オフされた。 AIの「今、何を信じる? 今、何を思う?」というメッセージは、シリアスでありリアルだ。なのに、彼女の歌はすべてが楽しい。何故、このアーティストはこんな気持ちにさせてくれるのだろう? きっとAIはろいろな人がいることを、いろいろな気持ちがあることを、体と心で知っているからだろう。
それにしてもBankBandの演奏もどんどんテンションが上がってきた。AIのファンク・チューンでは水を得た魚の如く、獰猛にして鮮烈なグルーヴを、山木&亀田のリズム隊を軸に放ちだす。その演奏に支えられながらAIが放つメッセージ、それは――「間違いない!」。その通りだ、あなたも今、この場所もいろいろなパワーが充満しているが、何一つ間違えていない。生きていることがすなわち間違えないことなのだ。 「このドレッシーな衣装で、さらにパワーアップしてきました!」、「3時間ぐらいかけたメイクも、この汗でボロボロですよ。でもそんなの関係ないから!」と、絶妙な一体感を投げかけながら、「たいせつな歌」を残してAIは笑顔でステージから去った。あ、帰り道間違えて、笑いながら彼女は帰っていった。 「2回目ですから!今回は思いがトーン!っていう感じで、今日は凄く楽しみましたね。衣装はちょっとドレッシーな感じで」 ◆ どうしたの、これ?(笑)。 「違うのよ(笑)。たまにはこういうのもいいんじゃないのかなぁみたいな。“大切なもの”とかバラードもあるし、今回はお客さんに聴いてもらって楽しんでもらうっていうのが自分のメインの目的だったので、とにかくみんな楽しんで!っていうね。あとは“I Wanna Know”とか“大切なもの”もそうだし、“Touch the sky”はこの場に合ってる曲だって選んで、小林さん達もいいじゃんって言ってくれたんだけど、曲の持っているメッセージもちょうどいいかなと思って。地球をジャケットにしたりしたし。あれを見てたぶんAIっていうのを(小林さんが)知ってくれたと思うんですよ。そういうきっかけの曲でもあるし。だから“I Wanna Know”はやりたくて。また是非誘って欲しい。だってこのフェス、毎日やりたいぐらいだから!!」 ♪I Wanna Know ♪大切なもの ♪Touch the sky ゆず「もう、ほんとお祭りですよね、AIちゃんは。出てきただけで盛り上がる(笑)。この方々も、お祭りですね、ゆず!!」 さあ、遂につま恋にゆずがやって来た。初めてであることが意外なほどこの場所とフェスにマッチしているゆずが、そして「待ってたよ!!」オーラ全開のたくさんのオーディエンスに迎えられたゆずが入ってきた。そしていきなり振り付けをフィールドに促し、思い通りにならないとさらに客を煽って煽って沸点を上げ、最初っからゆずワールドは完璧であった。そして大アンセム“夏色”が、割れんばかりの歓声の中で始まった。 今まで出場できなかった分のテンションを全部つぎ込んでいるかのような快演!フィールドは勿論、すべての人々が空を本当に掴みそうなほど、高く高く両手を上げている。みんなゆずを本当に待っていたのだ。しかし、このノリはまったくもって勢い任せなんかじゃない。ステージに上がる直前まで、トイレの横でシビアな歌のトーンの調整を眉間に皴を寄せながらやっていた2人が、決死の思いでステージに跳ね上がっていったことを、ここでは伝えておこう。
ゆずが「サザン→ミスチル」という国民的ポップの流れを継承している一つの大河であることを、小林のピアノが告げているようにも聴こえた。気温はさらに上がっているようだし、陽光はさらに強く僕らを照らしている。この辺りで気づいたが、このフェス、音楽が鳴っている最中が涼しいのだ。猛暑と陽光が射し込む中、音楽が最も快適な風となり、僕らに「涼」を投げかける。その音楽の力こそが、apならではの「音楽エコ」の本質。つまり、ここで流れる曲群は、みんなが「音楽扇風機」なのである。2曲目、小林のピアノがサザンオールスターズのプロデュースをしていたり、桑田さんのソロのサポートをしていた頃からの黄金律を鳴らしている。 3曲目は戦場の子供のことから始まり、この世界に存在する命の尊さを訴える、新しいゆずの名曲。一番後方で観ていたのだが、曲が進む中で「凄い…」という声や、かすかな泣き声が聴こえて来る。「儚くて消えそうな希望をさがす」、「望まれずに生まれてきた子供はいない」……この世界は今、もしかしたら止まっている、もしくは止まりそうなのかもしれない。世界は止まると、まるで走れなくなった馬の足のように腐ってしまうかもしれない。きっと世界はそれほどまでに繊細に回っているのだろう。だからゆずは「世界よ回れ」とこの曲の中で、そしてこのつま恋で連呼したのだろう。 岩沢_「実は3回ぐらい誘われてたんですけど(笑)。そのたびにツアーとかが全部重なってて。やっと出れました。緊張しましたね(笑)」 北川_「お客さんが、音楽を愛してる人が凄くたくさんいて。だから変な意味じゃなく安心してて。ステージ出る前は初出場だから緊張してたんですけど、出た瞬間安心して歌えましたね。あとはBankBandの演奏が劇的に上手い!!山木さんと亀田さんのリズム隊とか、改めて小林さんのキーボーディストとしての歌いやすさとか凄いなと思いました」 ◆“夏色”の最後のところのゆずのライヴでは恒例の「もう一回!」ありましたね。待ってる人がたくさんいましたよね。 岩沢_「あれ、リハではどうなるかわからないのでっていうので平行線のまま終わったんですけど。もしかしたら(「もう1回」というコール)こないかもしれないですっていうのがありつつ(笑)。なかったらそのまま次の曲いくんでっていうのもあって」 北川_「リハ中は『絶対くるんで!』って強気だったんですけど、本番が近づくにつれてこなかったらどうしようって思ってきて(笑)。みんなにもう一回してもらえてよかったです、本当に」 岩沢_「あれは本当に助かりました。アウェイな感じを一切なくしてくれた瞬でした」 ◆“ワンダフルワールド”、響きましたよ。 北川_「apもね、掲げてるテーマ自体は凄く大きなものだと思うんだけど、やろうとしてる活動は、櫻井さんのコメントとかも凄く身近なとこから始めようとしてる。僕らも大きいテーマではあるけど身近なところから改めて繋がっていこうっていうメッセージがあったので、そういう意味では凄くリンクしてるなって、あの曲をやりながら感じてました」 岩沢_「メンバーのみなさん音楽のプロであって、ボランティアのプロではないと思うんですよ。そういう意味で音楽発信で何かしようとしているパワー、それこそアーティストパワーっていうそのままなんでしょうけど、それに根源を見たというか。僕らもやっぱり音楽しかできないので。それで恩返しというか、そこに参加できるのが嬉しいですよね。単純に音楽から発信できるというのが大きいかなと。誘われたら是非きたいですね」 北川_「小林さんが呆れてなければ(笑)」 岩沢_「あいつらもうやめよう、来年って言われたら、さっとやめます(笑)」 ♪夏色 ♪Yesterday and Tomorrow ♪ワンダフルワールド ASKA「本日最後、この方で締めくくって頂きたいと思います。ASKAさん!」
フィールドはどうだ? サビではもう、みんなが強く高く激しく固く握り締めた拳を空に突き上げ、口を大きく広げながら「ヤーヤーヤー!!!」と大合唱である。ASKAさんも動く動く。ステージから降り、フィールドに出ようとし、歌いながらすっ転んでも歌の威力に変わりなし。もう凄いことになっているが、音楽は正確にジャストな音とリズムと旋律を刻んでいく。不屈のパワーを体現しているこの曲が、つま恋に無限の力を授けている。ASKA、威風堂々の入場、そしてさらなる威風堂々の歌い出しである。100パーセント、ASKAの磁場が瞬時に出来上がる。凛としていて、しかも強靭な音楽筋肉が、その歌から聴こえて来る。BankBandのすべてのメンバーが、今一度心の手綱を引き締めて演奏しているように感じる。自分が歌っていない場所でも櫻井やコーラスの2人は目をつぶってずっと「シャドー・シンギング」している。その中で右手はマイクに、左手は腰に手を回しながら歌うASKA。 3曲目に一度目のピークが来た。そう、ミスチル絶対のキラーチューンの一つでありながら、とても難解な歌でもある“名もなき詩”がASKAによってカヴァーされたのだ。しかしこのカヴァーが何というか、完璧にオリジナル。言葉を選ばずにいえば、鉄壁なまでに「俺の歌」。流石である。 そして最後に、本当の俺の歌としてのキラー・チューン“YAH YAH YAH”が誇らしげに響き渡った。嬉しそうに、しかし緊張感をたえず持ちながら、音楽を発する喜びを体現する櫻井やメンバー。その基で、山の頂で1人で歌い放つようなASKAの歌。 満感の思いを込めて「あーすか!」と櫻井が叫ぶ中、最後まで自分のペースで、しかし丁寧にメンバーに感謝の念を伝えながらASKAが去っていった。 「自分がステージに出るまでの会場の熱っていうのが、ゆずのところしか観れなかったから、自分を迎えてくれるヴォルテージと会場のヴォルテージの近似値ってどうなんだってわからなかったんですよ。でも演奏してる面子というか、奴らが奴らなんで(笑)、心配しないで歌える人たちだから思い切り楽しもうって。で、ちょいと後ろ向くと櫻井くんがニコって笑っていて、横向くと小林さんとアイコンタクト取れるんで楽しくて。今回で2年目なんで、この一派の一員として迎え入れてくれてるなっていう喜びがあって。そういう中でステージに立てるっていうのはもの凄く喜びが大きいですね」 ◆でもバンドにも独特の緊張感がASKAさんの時間には漂っていた感じがしました。 「その緊張は僕が作ってしまったんじゃないかと思うんですよ。“名もなき詩”の早口のところがね、僕ダメなんで(笑)。みんなそこにかけてたと思うんですよね。そこが来るのが今日一番の緊張だったと思うんですよね。でも、なんなく今日は出来ました。あのカヴァーは、彼らの策略だったと思います(笑)。あれをこいつに歌わせようって。難しい歌でしたね。でも今や櫻井くんは素晴らしいメロディメーカーだけど、詩人としても凄くベーシックに力を持った詩人なので、この人が何を言おうとしてるのかっていうことがブロックごとにしっかり入ってるので、歌ってて気持ちがどんどん入っていきますよね」 ♪月が近づけば少しはましだろう ♪PRIDE ♪名もなき詩 ♪YAH YAH YAH Bank Bandまだまだ先があるのかと呆れるほどの猛暑の中、このつま恋という名の緑の街をイメージして選曲した小田和正さんの名曲“緑の街”をもって15時30分にBankBand初日のライヴが終わり、メンバーが拍手で迎えられたバック・エリアに戻ってきた。拍手で迎える。レミオロメン16時15分、レミオロメンの登場を告げるSEがつま恋に響き渡った。2度目のブレイクタイムがあったからなのか、SEだけでフィールドからはエネルギッシュなリアクションが返ってくる。ちなみに、初日は猛暑であること以外は驚くほどすべてが順調に進み、タイム・スケジュール的には何と前倒しになるという状態が続いていた。 ステージ袖でずっと目をつぶっていた藤巻がガシッとステージを睨みつけ、その眼光の鋭さそのまま一気にメンバー全員がステージに雪崩れ込んでいった。去年は台風によって残念ながらバンドとしては参加できず、変わりに藤巻1人だけで“粉雪”を歌いに来たレミオ。今年は前田も神宮司と徒党を組み、万全の体制でのつま恋上陸である。1曲目からとっておきのアッパー・チューン。“南風”というタイトル通り、爽快な風が会場全体に沸きあがったが、その風を送ったのはバンドや楽曲であると共に、両手で大きな弧を描きながら風を生み続けたオーディエンスであったことを、ここで伝えておこう。これぞ音楽の風であった。
とても前のめりな曲順だが、しかしメンバーの演奏はいたってクールで藤巻のヴォーカルも伸びやかかつしなやかに風に乗っている。バンドの安定感と自信が、アグレッシヴな選曲の中からも伝わるライヴだった。サウンドもスタイリングもカラフルなレミオが、装いも新たにapに高らかに音を鳴らしている。フィールドも、そのエモーショナルな一体感のまま一気にフェス・モード全開。間髪入れずにツアーでは最後に奏でていた“スタンドバイミー”をかまし続ける。 1曲目からとっておきのアッパー・チューン。“南風”というタイトル通り、爽快な風が会場全体に沸きあがったが、その風を送ったのはバンドや楽曲であると共に、両手で大きな弧を描きながら風を生み続けたオーディエンスであったことを、ここで伝えておこう。これぞ音楽の風であった。 サウンドもスタイリングもカラフルなレミオが、装いも新たにapに高らかに音を鳴らしている。フィールドも、そのエモーショナルな一体感のまま一気にフェス・モード全開。間髪入れずにツアーでは最後に奏でていた“スタンドバイミー”をかまし続ける。とても前のめりな曲順だが、しかしメンバーの演奏はいたってクールで藤巻のヴォーカルも伸びやかかつしなやかに風に乗っている。バンドの安定感と自信が、アグレッシヴな選曲の中からも伝わるライヴだった。 「ここで1曲、新曲を届けたいと思います。ずっとツアーを回っていまして、音楽で繋がることの素晴らしさをあらたけて知る体験をしました。その中で生まれた新しいサマー・ソングです。楽しんでください、“オーケストラ”」という藤巻のMCの後で、その新しき一体感ソングはまん丸なフィールドに届けられた。そしてさらなる音楽の深部へ突入するべく最終曲へ――。 「次の曲は、もうすぐ行われる北京オリンピックのテーマ曲として書きました。歌詞を書くのに凄く苦労して……頑張っている人を応援するのは難しいなあと噛み締めながら、自分の弱さを見詰めるきっかけとなりました。聴いてください」というアナウンスによって“もっと遠くへ”が鳴らされた。 人間は生まれながらにして死へ向かいながら明日を通過していく。そんな生き方の中で弱さを抱かずにいられる人なんで誰一人いない。だからこそ、その弱さを自分でまっすぐ見詰めることこそが最も大きな強さであり……つま恋に生々しく木霊したこの曲は、そんな「弱さの中にある強さ」をリアルに響かせる壮大な曲だった。フィールドもみんな感じ入っている。派手なアクションがあるわけじゃないが、心で反応するスピリチュアルな空気が深く深く沈み込むように漂っている。本当のコミュニケイションをメロディーと歌詞が求めた結果の空気が、そこに溢れていた。 ◆去年はひとりで寂しそうだったんですけど、今日はバンドで嬉しそうだった藤巻くんです。 「はい、バンドはいいなと(笑)。ap bank fesっていうのは、夏フェスの中でも幅広い年齢の方が来られてる気がしますよね。今年、ステージに立ってみてそう思っったんです。だからこそちゃんと言葉を残したり、歌で違う場所で行ったりとかを、明確にやらないとダメな場所だったなって」 ◆今日は凄い暑かったんですけど、“南風”のサビのところで、お客さんに風を吹かせて、お客さんからも風をもらって凄くいい一体感だったんですけれども。 「みんなに近づけた感じだったんで、本当に1曲目が“南風”でよかったなって。今日は基本アップな感じでまとめようかなって。最後に新曲を聴かせたかったんで。新曲っていうことで距離が生まれるのかなって思ったんですけど、その前にフェスとして一緒に楽しもうっていうことを明確にやれたのでよかったです」 ◆“もっと遠くへ”は、もっと遠くへ飛びましたか? 「と思います(笑)。あの曲は言葉として残っていく音楽だと思うんで、自分の歌い方とか言葉に対する姿勢次第だと思ってたんです。気持ちを入れて歌うっていうことが、もっと遠くへ行くっていうことに繋がるんじゃないかなって。今日演奏してそう感じました」 ♪南風 ♪スタンドバイミー ♪3月9日 ♪1-2 Love Forever ♪明日に架かる橋 ♪オーケストラ ♪もっと遠くへ Mr.Childrenレミオロメンが終わった後のバックエリアでは、これまた恒例の「セッション」が開かれた。ミスチルのアンコールで行われるオールスターズによる“to U”のリハーサルである。ホスピタリティ・ルームでカラオケの演奏に合わし、シンガーが集まって自分が歌うパートを練習するのだ。毎年この姿を観ているが、この時ばかりはみんながお互いの様子を探ったり、自分が歌うのを照れたりじゃれあったりしながら、完璧に「音楽の子供」になっている。今年も然り。勿論、ASKAさんも然りである。
17時20分、いよいよヘッドライナーのMr.Childrenの時間が迫ってきた。ステージ袖にメンバー4人と小林武史が入っている。ん? もう1人メンバーがいる。コーラスのナオト・インティライミである。一年半かけて世界28国を周遊し、様々な生命と戯れてきたナオトはサッカーで桜井と繋がり、そして今はMr.Childrenのコーラスとして参加しながら、ソロ活動を始めている。そう、所謂「シンデレラ・ストーリー」である。メンバー全員、水曜からつま恋入りし、入念なステージ・リハを行っていたからだろう、みんな真っ赤に焼けて子供のようだ。特にJEN。そんな中、肌色から空気感から何から何までまーーーーーーーーーったく変わらないのが、ギターの田原。そこにこそMr.ChildrenがMr.Childrenである所以があるのかもしれない……。 ずっと「ちーーーーっぽけなーーーー」と張った声で歌っている桜井と、モニターの調整をしていたメンバーが目を合わせた瞬間にSEが流れた。そしてJENの「環境はバッチリだ!環境は!!」という声にみんな頷きながら、17時25分、6人編成のMr.Childrenがステージに登場した。 そう、環境は最高だ。あとは音楽だけ。ここからは音楽がすべてである。 今回のMr.Childrenのライヴは、新曲が肝になっている。過去にはここで“彩り”を初披露したり、Mr.Children自身がap bank fesの中から生まれる新世界を楽しんできたわけだが、今回もまたそんなセットが並んでいた。 「聴いて欲しい曲がいっぱいある! まずはこれから!!」と話し、彼らは9月3日にドロップされることが決定している新曲“HANABI”を披露した。Mr.Childrenは、明日へのLIVEを彼らは今年もつま恋で奏で始めた。 唐突だが、Mr.Childrenは「大地」だと思う。踏みしめられて存在の意味がさらに強くなっていくような、そんな音楽集団だと思う。今年のつま恋の芝生はとても青々しくて、でもきっとこの3日間、各日27000人もの参加者とフェスサイドの人々によって踏みつけられ、多くの芝は傷んだり禿げてしまうのだろう。実際、この日だけでかなりの芝生が茶色くなってしまっていた。しかし。そんな禿げたり痛んだりした芝は、それでも必ず再生して、再び青さを浮かべながら、僕らが踏みしめるのをきっと淡々と待つ。なんてタフな生き方なのだろう、この大地は。Mr.Childrenも同じである。多くのリスナーに勝手に歌われ、語られ、時に踏みつけられたりいたぶられたりしながら、さらに強く、素晴らしい色彩を得て、それを音楽として奏でていく。そんなMr.Childrenの数々の名曲が緑の街=つま恋に響き渡り、そこに真っ赤に日焼けした多くの参加者の笑顔が最高の彩を加えていた。 ※ソングリストは7/21のレポートに記載します。 to U本編が終わった後、19時31分。JENが桜井をおんぶし、先頭切ってステージに帰ってきた。そしてMr.Childrenのメンバー、さらにオールスターズが登場し、けして替わりが永遠にないであろう絶対的なap bank fesのテーマ・ソングである“to U”が始まった。陽光は西日になったものの、未だ大地を照らし出している。実はこの日はap bank fes史上、初めて「陽が落ちない中、フェスがすべて終了した」日となった。参加した人ならわかるであろう、今まではMr.Childrenの途中からつま恋には闇が訪れ、そこで音楽と照明が蛍のように夜に光ろ輝くものだったが、今回は最後の最後まで陽が落ちない時間にフェスは終了した。参加者が家路に着きやすくした運営側の配慮によるリニューアルだったが、フェスといえば夜の闇までという常識を覆し、みんなの笑顔が闇に隠されない中終わっていくのも、またこのフェスらしい表情だったと思う。
「雨にもマケズ、風にもマケズ、もちろん台風にもマケズ、やってきました今年もつま恋に」というGAKU MCの最高のフリー・ライムから始まった“to U”は見事なまでにこの日の至福感を奏でてくれた。 18時40分、ap bank fes08の初日が終了した。 桜井和寿「長い1日でしたねー(笑)。たっぷり濃い1日だったなあ。全部の曲に、魂を込められた気がしますね。お客さんに関しては、本当に暑いのが心配だった。でもみんな笑っていて、本当によかったです。だからなのかな?1日ずっと、気持ちよく歌えましたね。正直、Mr.Childrenの新曲の精度は低かったんです。それは話し合わなくちゃいけないんだけど、それでも、ひとつひとつ魂を込めてやれたんすよね。それがよかった(笑)」 ap bank fes史上初めて暮れない中で終わりを迎えた日となった7月19日。まだ1日だけでは決めれないが、言葉のいらないエコ・フェスとでも言うべき、「すべてを音楽に託して奏でよう。そこから感じてもらうことこそがエコに繋がればいい。それが僕らの役目だ」という意志がはっきり伝わった1日となった。 その後、バックエリアではMr.Childrenの4人と小林武史で深い打ち合わせと明日のライヴに向けた変更案が議論されていた。さて、明日はどうなるのだろうか? その後はこれまた毎度お馴染みの打ち上げ。この日は「宴会番長×2」のスキマスイッチの2人がいる。そりゃ盛り上がったよ、激しく。大橋が「宴会で歌いたくないから、ライヴの本番で歌ったのに、とうそぶいた“ふれて未来を”も勿論、出演アーティストん大合唱&大手拍子で披露されたし、新たにMr.Childrenのコーラスに入ったナオトを肴に、みんなで激しく笑い合った。 しかし最後に持って行ったのは、やはりこの人、「ASKA」だった。 「UNIVERSEという言葉って、実は、UNIが一つという意味で、そしてVERSEが音楽を指す意味なんですよね。『音楽で一つになるのがUNIVERSE』、まさにこのフェスこそがそれにふさわしい場所だったと思います。みんな、残り2日間、大変でしょうけど、この素晴らしきUNIVERSEで頑張ってください」 素晴らしいメッセージが打ち上げをスピリチュアルなものとし、何より明日への勇気と活力となった。 素晴らしい一日が終わった。明日もまた、ピーカンとの予報がなされている。 みんな、気をつけて音楽と戯れましょう――。 鹿野 淳(MUSICA)
|