Bank Band with Great Artists
KAN

KAN

気温は30度弱と、曇り空ながら時おり吹き抜ける風が心地よい最終日の昼下がり。ここで、第2部最初のGreat Artistの登場だ。
不意に鳴り響いた下校のチャイムと共にママチャリで現れたのは、ちゅ、中学生っ!?いや、そのお顔は中学生というより、むしろ中年……(失礼!)。そう、彼こそは、日本が誇るSSW(シンガーソングライター)、KAN!
昨年は“警察KAN”姿で登場し、場内を爆笑と高揚感で包んだKANは、ショルダーバッグからマイクを取り出して「東京熱帯SQUEEZE」を流暢なライムで届ける(櫻井もコーラスでバックアップ!)。
その後、おもむろにグランド・ピアノに向き合って、ストリングス隊と共に奏でられた、あのイントローーもうその時点で、場内がピッタリとひとつになるのを感じた。そう、僕らのアンセム「愛は勝つ」!
優れたポップ・ソングは、その普遍性ゆえ幾度となく時代とリンクするものだが、<どんなに困難で くじけそうでも 信じることさ 必ず最後に愛は勝つ>と歌われるこの曲が今また僕らに必要だということが、フィールドいっぱいに広がる手拍子と大合唱が証明していたと思う。
深々とおじぎをして、再度グランドピアノに向き合ったKAN。
歌い出したのは、これもまた時代の要請に応える力強い名曲「すべての悲しみにさよならするために」。
オーディエンスを見渡しながら語りかけるように丁寧に思いを届け、すっかり学ラン姿が板についたKANは、誰に衣装を突っ込まれることもなく(笑)、「ありがとうございました!」と今一度おじぎ。さっそうとママチャリにまたがり、チリンチリン!とベルを鳴らしてステージを後にしたのだった。

M1.東京熱帯SQUEEZE
M2.愛は勝つ
M3.すべての悲しみにさよならするために

(奥村明裕)