Bank Band with Great Artists
Cocco

Cocco

最終日、第1部最後のGreat Artistとして登場したのは、デビュー15周年を迎えたCocco。
沖縄の海を思わせるような、エメラルド・グリーンを基調としたドレスに身を包んだ彼女が「Heaven's hell」の最初のフレーズ(「いま やっと/首に手を掛け/やさしい話/手繰ろうと」)を歌い始めた瞬間、会場全体が美しい静寂に包まれる。震えるような衝撃と心が浄化されるような感動が同時に伝わってきて、全身全霊で歌う彼女から目が離せなくなってしまう。
「このステージに立つのは2回目です。歌う場所をありがと。歌を歌います。ありがと」。
少し震える声でそんなふうに語ったあと、「絹ずれ」へ。
豊かな広がりをたたえたバンド・サウンドと一体化するように、激しく前後の身体を揺らしながら歌声を響かせるCocco。存在のすべてが歌そのもの、音楽そのものと直結している。そんな印象を抱かせるシンガーは、彼女以外に知らない。
そしてラストはスピード感あふれるロックチューン「音速パンチ」。
櫻井のシャープなギター・カッティングとともにバンド全体が勢いよくドライブしはじめ、凄みを増したCoccoの声がまっすぐに突き刺さってくる。彼女にとって歌とは、“やりたいこと”ではなく“やらなくてはいけないこと”なのだろう。歌うことを宿命づけられたCoccoの歌を、つま恋の素晴らしい自然のなかで体感できたことを本当に幸せに思う。

M1.Heaven's hell
M2.絹ずれ
M3.音速パンチ

(森朋之)