ap bank fes'07 現地レポート|7月14日(土)

鹿野さんによるap bank fesの即日ライブレポートを予定しておりましたが、 代わりに舞台裏を少しレポートしてもらいます。
7月14日(土) ap bank fes'07 初日

残念ながら前日に中止が決まった初日。
午前11時、本部であるミュージック・ガーデンに小林武史を中心とする主要スタッフやメンバーが集まり、2日目である15日の中止の最終確認をする。
特に小林は、中止を告げるお知らせ文の細かい部分を悩みながら、この文を読んで落胆するであろう参加者への気配りに心を砕いている。
本部の机の上に1枚のFAXが置いてあった。BONNIE PINKからのFAXである。環境破壊によるかもしれない台風の影響でこうなった可能性があると思うと、皮肉なことだが、素晴らしい音楽とその音楽を好きな参加者に理解を得られたことと思います。頑張ってください――というようなあたたかい言葉が、丁寧な手書きのメッセージになって寄せられている。それを嬉しそうに見せてくれたGAKU-MCは、何しろ最終日だけでも音楽を響かせたいとずっと話してくれた。

櫻井和寿、亀田誠治、そしてGAKU-MCなども集まり、最終日の開催に向けての細かい話が始まった。一番の問題は、台風が過ぎ去ったとして、それがいつになるのかであり、その後からステージを作り直してどれだけの規模のセットを仕上げられるかであった。ちなみに台風の上陸に備え、一度完全に組み立てられたステージセットは鉄骨だけの姿になり、すべての照明とPA機材などの音響機材は取り払われている。
「ここまで積んできたことがある、それは確かなことなんですよね。それをみんなのもとに出せるか出せないか、それが僕達にとってはすべてというか、(出せると出せないとでは)大違いなことなんですよね」と亀田が語ってくれる。まさにその通りである。細かいシビアな当日の進行や曲目の変更、そして確認をしながら出てくる言葉は「何としてでもやりたい。響かせたい」という直情的なものばかりである。誤解を恐れずに言えば、自然を前には遠足を前にした小学生も素晴らしきアーティストもみんな同じなんだなぁということを感じる。それがいいこととか悪いこととかじゃない。つまりは「生きている」ということであり、自然と共生しているということである。

リハーサル・スタジオにはBank Bandの機材がセットされている。メンバーは11日からつま恋に入り、リハーサルを繰り返してきたそうだ。その中で2日間の中止が決まったということは、心中察するに余りあることだと思う。しかし、「3年目にしてようやくこんなことになったのは、今までがよかったということなんでしょうね」と話してくれた櫻井の気持ちが表すとおり、みんなこの現実を受けとめながらも最終日の開催を願っているようだった。
その「誰もいないリハーサル・スタジオ」に夕刻過ぎ、ひとりの男が入り、激しい音を鳴らし始めた。
JENであった。
その頃から、いよいよ本格的な暴風雨がつま恋を襲い始めた。
会場であるフィールドにも強く激しく雨風が吹きつけ、音楽ではない哀しい雨音だけが、そこに響き続けていた――。

鹿野 淳(fact-mag.com

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ap BANG!




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