General Info|終演にあたって〜小林武史/櫻井和寿からのメッセージ〜

message from 小林武史

ap bank fes'07が終りました。

一日だけのフェスになってしまいましたが、一日も出来なかったことよりも、
出来たことはいろんな意味で100倍ぐらいよかったーーこれは本当。
台風のために一度撤収した機材やセットやテントも、スタッフの頑張りがあって再設置後の最終日だということもあり、
みんな気合いも半端じゃなく入ってたし、実際にものすごい密度の濃いパフォーマンスが展開された一日だったと思います。

だけど……やっぱり正直いって物足りない思いは残る。

まず、何度も言ってるけれど、14日、15日に来れなかった人たちの分まで、と思っても……多分いろんなことが物理的に追いつかないし、Bank BandやMr.Childrenのメンバーと終ってから話し合っても、05、06で全う出来た「三日間の物語」はやはりそこにはないわけです。

そこの中で生まれるうねりのような、起承転結のようなものも、やっぱり淡白ではあります。
計算し尽くしている訳じゃないけど、音楽を中心に繋がっていこうとするエネルギーが大きいんだと思う、このフェスは。
ハウスバンドスタイルのパフォーマンスが多いことを含めて流れがすごく重要だったり、意味が生まれたりしている。
だからやっぱり2日間中止なら、トータル感が無いのは当たり前なんだよなあ。

フードエリアの方はもっと大変だったと思う。
三日間の開催にあたって僕がスタッフに言ったのは、天気がどうなるかわからないから、食べ物や水などエネルギー補給をとにかく優先してほしいという希望でした。
だから色々と用意していた想いの数々は、本当に引っ込み思案になったままだったような気がする。
多分準備していたものが使いきれなかったという想いは、音楽をやっている僕らよりも、もっと大きくて、やるせなかっただろうな、と思う。

とにかく自然と付き合ったり向き合ったりしながら、今年のフェスはこれで終わりです。
でも届くべきだったエネルギーはどこかで身を潜めたりしてるんだし、
それはまた次のグルーブに繋がっていくのだから。

今回ライブは見れたけれど、満員電車や他の交通機関を使わざるを得なくて、へとへとになって会場にたどり着いた人や、来れなかった人たちはもちろん残念な思いをしたと思うけれど、その人たちにも、あとこのフェスに関わってくれた全てのスタッフ、そしてパフォーマンスが出来たミュージシャンと出来なかったミュージシャン、その全ての人たちにいま、言えるのはこれしかないし、でも本当に言いたい。代わり映えしないけど、、、

「おつかれさまでした。またやりましょう」


小林武史





message from 櫻井和寿

フェスが始まった3年前に比べると、環境問題に対する意識を持った人は急激に増えたように思う。
このホームページに頻繁に立ち寄ってくれている皆さんの方が、もはや僕なんかより環境問題に対する知識は豊富なのではないだろうか。
これ、ap bankやap bank fesがその事に貢献した、とか言いたい訳じゃないです。
ただ、見て見ぬフリができないところまで、良からぬ現実が迫っていると皆が感じているからこその、この「エコブーム」なのだと、そんな気がしています。

さて、本題に入る前に
僕が最近読んだ興味深い本を紹介します。

「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田邦彦
「リサイクルは資源のムダ使い」小若順一

この二冊は、今まで僕が(おそらくみなさんも同じように)考えていたエコ的な取り組み、環境に良いとされている常識に、間違っているものや理屈に合わないものがあると書かれている本です。
例えば、ペットボトルをリサイクルすることで資源は多く使われる為、むしろ焼却炉で燃やした方が環境には負荷をかけない、など…。
本に書かれているものとはいえ、視点が違えば当然異なる意見もあるのだろうけれど、僕にとっては新しい発見だった。

短編集『家日和』奥田英明 

この本の中の一遍「妻と玄米御飯」。 
これは直接環境とは関係ないんだけど、”生活にゆとりがあってこそ”のスローフードにハマる人達を皮肉った短編で、なんか自分の事を笑われてるような気がして、胸がチクッとしました。

まぁ そんな感じで、正直スカッとした気持ちでエコライフはしてないです。
日々、一体何が正解なのかなぁ?とか考えながら、ひょっとしたら意味のない事してるのかもなぁ?とか思いながら、
間違ってるのかもなぁ?って疑心暗鬼になりながら、それでもペットボトルを含め一生懸命ゴミを分別してたりします。

でもね。
僕はこれで良いのだと思うのです。この正解のない感じが。
社会は不規則な事が起きたり秩序が乱れる事を鬱陶しがって、なんでも人間の都合のいいように手を加えるでしょ。キュウリをカーブのない真っ直ぐなものに改良するように、本来あるべき姿を封じ込めて、自分たちがコントロールしやすいものにしようとする。予測不能な事態、危険や不安、それが付きまとっているのが本来の姿なのに、無理矢理安心を得る為の価値やルールをつくる。その為にねじ曲がっちゃう事とか鈍っていくものもいっぱいあるのに。
だから僕はいつまでもスッキリしないこの不安定な気持ちと上手に付き合っていたいと思う。

本来の姿。
自然の摂理。
それを今回の台風は教えてくれた気がします。(いつの間にか本題に入りました。)
中止になったのは凄く残念。でも仕方ないもん。
練習しまくった曲は演奏されず、予想されていた収益もなく、大きな赤字となりそうです。
でも、不謹慎だけど僕はこの台風を楽しんでたの。
楽しみにしていた人、このフェスに携わった人、働きどおしのスタッフがいた事をもちろん知ってる。
でもね、嫌な事が起きた後には必ず良い事があるから、それを思ってワクワクしてた。
物理的にムダになったものや、失ったものはある、
けれど、目に見えないもので、自分が得たもの、大切なものがいっぱいあった。

もしこのイベントに参加できなくて、悔しがってる人がいたら、是非探してみてください。
この台風のアクシデントの中にも、素敵な何か、大切な何かを見付けられるはずです。

最後に
このイベントに携わった全てのひとに 心から 心の底から
ありがとう。

それから小林さんに、ありがとう。おつかれさまでした。


櫻井和寿


ap bank

ap bank fes'05

ap bank fes'06


ap BANG!




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